引っ越しバイトでトびかけたらマリア様に救っていただいた話

暇な時に読んでもらえたら嬉しい。

俺は昨日、人生初のアルバイトをした。
簡潔に感想を述べよう。


最高だった。


事の発端はおととい。俺が登録している派遣会社から俺に一本の電話が入る。何やら、人手が足りないらしく、なんとか俺に入ってほしいとのことだった。ちなみに俺は4月にそこに登録してから約5ヶ月間幽霊社員だった。シンプルに働く気が起きなかったので。
業者は引っ越し屋。早朝から昼まで働いて欲しいとのことで、時給は四桁だった。なかなかの額だと思ったし、生活習慣を朝型に直す良い機会だと思ったので、快く引き受けた。
そして当日。なんとか遅刻をせずに事務所に到着。朝礼後、資材をトラックに積み込み、いざ現場へ。俺はトラックの助手席へ乗り込んだ。現場へ行く途中、運転手のAさんから色々と質問を受けた。学歴やバイト経験など、よくありがちな質問だった。俺は正直に淡々と答えたが、Aさんがひとこと。

「バイト初めてかぁ~。今日のお客さんはクレーマーだからね~w大変だろうけど頑張ってw」

(うーーーーわ...)と心の中で呟く俺。嫌な顔をするわけにもいかず、「マジすか笑笑 でも初めてのバイトがそういった感じだと良い経験になりそうです笑」と思ってもないことを口に出す。思ってもないことを言うって意外とエネルギー必要だよね。そう考えると女とかいう生き物スゲーわ。あいつらの内輪での“◯◯ちゃん可愛い~♡”なんか10割ウソだもん。10割。
んで、なんやかんやで現場に到着、クレーマーもといお客様とご対面。大人しそうなオバサンだった。さてさて、そこからは本格的な業務が始まる。家とトラックをずっと往復して荷物を積み続ける。ちなみに作業に参加していたのは俺とAさんと、別の車で現場に来たBさんの3人だった。
俺は仕事場ではかなり体裁を気にする人間らしく、現場で働き者の好青年と思われるためにはどうしたらよいかが自然と頭に思い浮かんでいた。返事や駆け足やアイコンタクトなど、それっぽくなりそうなことは色々やった。でもあの人たちプロだし俺が不真面目なのバレてるかも。どうだろうね。
運んだ物とか書き連ねても仕方ないので、仕事中に印象に残った瞬間を書く。極めつけは、これ。


時間の流れが遅すぎる。


エグ遅い。体感時間と実時間が乖離していた。

現場に着いてから行った作業は新居へ向けた積み込みだったのだが、時間を確認する手段がなく、作業を終えて車に戻り車の時計で時刻を確認するまでは一切の時間的情報が無かった。「もう3時間くらい経ったかな?流石にもーちょいいってるか」そんなことを考えながら車で時刻を確認した俺は絶望した。1時間半しか経ってなかった。ホンマに勘弁して。でも、絶望すると同時に、
「集中すれば短時間で大量のタスクをこなせる」
ことを再認識した。これは試験勉強をする上で心得ておくべきことだと思う。俺は去年ダラッダラダラッダラ勉強し続け「12時間も勉強したぞぉ‼️」とか言うてたアホなので、今年以降は上に挙げたことを意識して試験勉強していきたいと思ってる。努力は手段であって、目的ではないのでね。
話は戻り、次はトラックで新居へと移動。新居に移動してからもしばらくは時間の確認はできなかったのだが、ふとリビングに小さな時計があることを確認した。おそるおそる時刻を確認する俺。一方でこれまで体験したことがないほどの重労働がニートの体に確実なダメージを与えていた。もう、心身ともに限界。お願いだからせめて2時間は経っててくれ。てか俺かなり運んだよね?むちゃくちゃ頑張ってたよね?そんなことを思いながら、俺は時刻を確認したのだが...


新居に着いてから50分しか経ってなかった。

ん、発狂。いや、ホントに発狂するかと思ったよ。もう、段ボールから皿やスプーンをわざわざ取り出し、それらを一つずつ運ぶことで遅延行為でもしてやろうかと思った....

そんな、俺の気がトびそうになっていたその時、



クレーマー「ホント、ありがとね~..これ、気持ちだけど....」



クレーマー、俺達3人に突如として封筒を渡す。
あからさまに中身を覗くのは気が引けるので、オバサンの目を盗みつつちょいと中身を確認してみると、



────英世がいた。野口英世が顔を見せたのだ。


.....クレーマー、すき。なんだよ....めっちゃいいやつじゃん...え、なに?笑笑 ツンデレ?笑笑 ばーか笑笑

と、ここでは面白おかしく書けてるけど、マジで当時は涙が出そうだった。もう、やる気、完全回復。野口をポッケにしまい、気持ち新たに一生懸命労働に励む。今思うと、野口獲得から20分くらい経った後だろうか、全ての作業が完了し、クレーマーオバサン、いや、聖母マリアとはお別れ。車に戻り、時刻を確認してみると、何と...


まだ終了時刻まで1時間半くらい残ってた。


全然終わらねぇじゃん................。
全然終わらないのよ。改めて書くけど、体感時間と実時間が全く違う。その時、俺はもはや半分トんでいたのだが...

Aさん「お疲れさん‼️」

俺「...ぇ」

Aさん「無事に終わったな~」

俺「..ぁ...はい!!!!お疲れ様でした!!!!!!」


お疲れ様でした.....。どうやら予定よりも早く終わったぽい。解放感で胸が一杯だった。すると突然Aさん、

「初バイト、初現場、初引っ越し。童貞3つも卒業したなぁ!!!」

急にどうした。今は冷静にそう思えるけど当時労働からの解放に舞い上がっていた俺は、

「はい!!!!でも俺ガチの童貞なんですよね!!!!!!!!!」

アホである。するとさらに、

「おぉ!リアル童貞かぁ!」
「はい!リアル童貞です!」

などと下品な会話が繰り広げられる。ちなみに帰路では下ネタで大盛り上がりだったが、特にここに書くほど面白い内容ではない。ちなみにAさんはほとんどゴムしないけど女を孕ませたことは一度もないらしい。



そしてお待ちかね、就業報告書の作成。1時間半早めに終わったものの、給料はしっかりと予定の就業時間ぶん貰えることになる。朝から昼前までだいたい4時間半ほどしか働いていないにも関わらず、給料は約7000円。そしてオバサンから貰った野口は結局3体だったので、それを加えて約1万円。4時間半で1万円。もう、文句無し。最高のバイトだった。またやりたいとは思えないけど最高のバイトだった。そんな感じ。来週からはラーメン屋でバイトなのでそちらも頑張っていきたいね。では終わります。読んでくれてありがとう!